気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る。


・人間の活動による温室効果ガスの排出は、気候変動を引き起こしながら増大を続けています。現在の排出量は、史上最大の水準にあります。全世界の二酸化炭素排出量は1990年以来、50%近く増えています。


・大気中の二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素の濃度は、少なくとも過去80万年で例を見ない水準に達しました。二酸化炭素濃度は、第1に化石燃料からの排出、第2にネット土地利用変化からの排出により、産業革命以前に比べて40%上昇しました。海洋は人為的に排出された二酸化炭素の30%を吸収しているため、海洋の酸性化も進んでいます。


・過去30年間を10年ずつに区切ると、地球の気温は1850年以来のどの10年間の記録も更新し続けています。北半球では、1983年から2012年までの30年間の気温が、過去1,400年のどの30年間よりも高かったと見られています。


・1880年から2012年にかけ、地球の平均気温は0.85℃上昇しました。このまま放置すれば、地球の平均気温は21世紀を通じて上昇を続け、今世紀だけで上昇幅は3℃に達する可能性が高く、熱帯、亜熱帯を含む地球の一部地域では、それよりも大幅な気温上昇が生じると見られています。最も大きな影響が及ぶのは、最も貧しく、社会的に最も弱い立場に置かれた人々です。


・19世紀半ば以来の海面上昇は、それ以前の2千年紀の平均を超えるペースで進んでいます。1901年から2010年にかけ、地球の平均海面は0.19〔0.17~0.21〕メートル上昇しています。


・1901年から2010年にかけ、温暖化により氷が解け、海洋が拡大した結果、地球の平均海面は19 cm上昇しました。北極の海氷域は1979年以来、10年単位で縮小を続け、各10年当たり107万 km2の氷域が失われています。


・多様な技術的措置と行動の変化により、産業革命以前と比べた世界の平均気温の上昇を2℃に抑えることはまだ可能です。


・今後数十年間のうちに、各国政府が定めた2℃という温暖化目標を66%以上の確率で達成するための緩和手段は、数多くあります。しかし、追加的な緩和策を2030年まで延期すれば、21世紀中の温暖化を産業革命以前との比較で2℃未満に抑えるための技術的、経済的、社会的、制度的課題は、はるかに大きくなるでしょう。